今回は
「歯周病予防におけるマウスウォッシュの効果」
を解説します。
マウスウォッシュには薬用成分が入っており、
殺菌や歯ぐきの保護という面で、効果があります。
しかし、デメリットも少なくありません。
使うタイミングを見極めないと、
効果がほとんどなくなるのです。
今回はマウスウォッシュのメリット・デメリット、
使うべき人を整理しますね。
マウスウォッシュの種類
マウスウォッシュと一言で言っても、
効果・効能ごとに種類があります。
多いのは歯周病と口臭予防です。
・殺菌成分
・歯ぐきの防御成分(炎症や出血の抑制)
などが入っています。
他、虫歯予防に効果的な
『フッ素洗口液(フッ素配合マウスウォッシュ)』
も人気です。
フッ素濃度は低めですが、
マウスウォッシュは歯磨き粉より
低濃度で高い効果が認められています。
フッ素洗口液の効果は、
ここで話すととても長くなるので、
次回、別の記事としてまとめます。
また、歯を白くするホワイトニングの
マウスウォッシュもたまに見ますが、
成分を見る限り効果は相当低いです。
うがいだけで着色(ステイン)が取れるのは、
期待しないほうがいいでしょう。
よって現実的に期待できるのは、
・歯周病
・口臭
・虫歯
への対策となります。
マウスウォッシュ3つのデメリット
そんなマウスウォッシュですが、
私はそこまで推奨はしていません。
「使わないほうがいい」とまではいきませんが、
積極的にオススメもしないのです。
その理由を3つお話します。
デメリット1.歯垢(プラーク)内までは殺菌できない
殺菌成分が配合されているマウスウォッシュでは、
歯周病や口臭の予防が可能です。
しかしここで気を付けてほしいのは、
口内の浮遊菌に対して効果があるということです。
逆に、プラーク内には成分が作用しません。
つまり歯にプラークが付着している状態で
マウスウォッシュを使っても、周囲にある
浮遊菌しか殺菌できないということですね。
しかし、もっとも虫歯や歯周病、
口臭の原因となるのはプラークです。
そのプラークは歯磨きで破壊するしかありません。
つまりマウスウォッシュは、
歯磨きの代わりにならないのです。
たまに
「歯磨きの時間がないので、
マウスウォッシュをしておく」
という方がいます。
しかし、マウスウォッシュは代わりにならないのです。
いくらマウスウォッシュを使っても、
プラークが残っている限り虫歯や歯周病、
口臭のリスクは高くなります。
一応、口臭対策にはなるので、
「歯磨きできないから、せめて口臭は取っておく」
という発想でのマウスウォッシュはありです。
しかし、繰り返しますが歯磨きの代わりにはなりません。
ここは誤解しないようにしましょう。
デメリット2.歯磨き後にやるとフッ素が流される
いま、マウスウォッシュの成分は
プラーク内には作用しないとお話しました。
言い換えれば、歯磨き+マウスウォッシュならOKです。
ただし、歯磨き直後のマウスウォッシュはオススメしません。
なぜなら、マウスウォッシュを使うと
歯磨き粉の成分が洗い流されるからです。
以前、虫歯予防の記事でお話しましたが、
いまの歯磨きは無洗口(うがいしない)が
推奨されています。
フッ素などの薬用成分を長く留めておきたいためです。
しかしマウスウォッシュを使うと、
新たに殺菌成分は入れられますが、
歯磨き粉の成分は相当流されます。
よって、使うなら歯磨きから2時間ほど経ち、
歯磨き粉の効果が切れてきてから使うべきです。
それなら歯磨き粉の効果を得つつも、
マウスウォッシュが有効に働くでしょう。
でも、そこまで正確にやるのも
面倒くさくない?と思います…(笑)
それに、そこまで徹底しないと
虫歯や歯周病は予防できないかと言うと、
全然そんなことはありません。
・糖質の摂取回数を減らす
・フッ素
・正しくブラッシングする
・薬用成分を摂取する
などをすれば虫歯・歯周病にはなりません。
そこにマウスウォッシュを追加するのは、
サブのサブくらいでしょう。
90点のケアが95点になる程度の違いです。
劇的に何かの変化は見込めません。
現状、あなたが歯周病になっているなら、
マウスウォッシュによる治療は期待できず、
それよりも優先すべきはブラッシングの改善。
総じてマウスウォッシュを重視しても、
お金や労力がもったいないと感じます。
デメリット3.費用が高い
最後のデメリットは費用が高いことです。
薬局のマウスウォッシュは、
1ヶ月分で600円~800円などします。
歯磨き粉は市販のものなら
300円~500円で1ヶ月以上持つことを
考えると、だいぶ高級な部類です。
対して、効果が非常に高いとは言えません。
となると、無理してマウスウォッシュを
取り入れる必要はないでしょう。
マウスウォッシュのメリット
ここまで否定的なことばかり書いてきましたが、
マウスウォッシュを全否定したいわけではありません。
マウスウォッシュの使い方として、
『口臭のリセット』ならオススメできます。
大切な商談やデートの前などに
息をサッパリさせておくわけですね。
これは「マウスウォッシュを使わないと口が臭い」という
意味ではなく、正しくブラッシングや水分補給をすれば、
使わなくても口臭はしません。
しかし、大事なときは念を入れるというイメージです。
私も、SP-Tメディカルガーグルという
歯科専売品のマウスウォッシュを持っています。
※歯科専売品とは原則、
歯医者さんでのみ購入できる製品です。
が、いまはAmazon、ロフトやハンズ、
品ぞろえのいい薬局などでも購入できます。
SP-Tメディカルガーグルは1,500円ほどします。
が、希釈するので200回ほど使用可能です。
なので市販のマウスウォッシュと比べても、
コスパに数倍、優れています。
そんなSP-Tメディカルガーグルの成分は、
・浮遊菌を殺菌するCPC(塩化セチルピリジニウム)
・歯ぐきの炎症を抑えるGK2(グリチルリチン酸ジカリウム)
・スッキリ感のあるメントール
などです。
先ほどお話したように口臭対策になります。
もちろん薬用成分が入った歯磨き粉を使ったあとは
SP-Tメディカルガーグルを使わないのですが、
以下のような場面では愛用しています。
・歯磨きができないとき
・薬用成分のない歯磨き粉を使っているとき
寝起きのマウスウォッシュは必要か?
もう1つ、寝起きにマウスウォッシュを使うといい
という話をたまに目にします。
寝ている間は唾液の分泌量が減り、
細菌が繁殖してしまうからです。
よって寝起きはマウスウォッシュで殺菌するわけです。
この考えは正しいのかと言うと、
不潔な口を洗浄する効果はあります。
が、その用途なら普通のうがいでも十分です。
なんなら朝に水を飲んだり朝食を食べても、
口内は洗浄されます。
「それだと繁殖した細菌を飲み込むから良くない!」
と言われたりするのですが、
細菌は胃液ですべて殺菌されます。
なので飲み込んでも全然問題ありません。
よって、
「マウスウォッシュを使うな」
と言いたいわけではないのですが、
「そこまで大きなメリットはない」
というのが私の考えです。
口臭ケアとして1本備えておくと便利
くらいに考えておきましょう。
マウスウォッシュ(洗口液)とデンタルリンス(液体ハミガキ)
最後に1つ注意点を。
液体のオーラルケアグッズは、主に
マウスウォッシュ(洗口液)
デンタルリンス(液体ハミガキ)
の2種類があります。
これらがよく、ごっちゃにされがちです。
どちらも同じマウスウォッシュだと
認識している方も多いでしょう。
しかし、両者は明確に違います。
使い方を間違えると効果が激減するので、
ここで2つの違いを覚えておきましょう。
マウスウォッシュ=洗口液
マウスウォッシュはその名の通り、
口の中を洗うために使います。
20~30秒口に含んだり、うがいしたり、
グジュグジュして終わりです。
それで口内に薬用成分を行き渡らせます。
デンタルリンスは液体ハミガキと書かれるように、
歯磨き粉ならぬ歯磨き液です。
つまり口の中に含んだあと、
吐き出してブラッシングをするものです。
マウスウォッシュのように
うがいするだけでは効果を得られません。
歯磨き粉の液体版と覚えておきましょう。
このようにそれぞれ使い方が異なります。
が、両者が違うものだと一般には認知されておらず、
それぞれの使い方の違いも知られていません。
なんならマウスウォッシュとデンタルリンスは、
パッケージだとほぼ違いが分からないものも
あるので厄介です。
が、裏面の成分表示などのラベルを見ると、
「洗口液」「液体ハミガキ」などと書かれています。
目的に合わせて、正しいほうを使いましょう。
以上がマウスウォッシュについてでした。
次回は途中でお話した、
『フッ素洗口液』について解説します。
フッ素洗口液は、今回の記事で扱った、
歯周病や口臭のマウスウォッシュとは
事情が異なってくるのです。
そこを次回、お話しますね。