前回までで、オススメの歯ブラシとデンタルフロスを
それぞれご紹介しました。
これからは、オススメの歯磨き粉編に入ります。
が、その前に1つ話したいことがあります。
歯科専売品についてです。
歯磨き粉の歯科専売品とは?
歯科専売品とは、主に歯科医で
販売される口腔ケアグッズです。
(歯ブラシや歯磨き粉、マウスウォッシュなど)
一般論で言うと以下のような特徴があります。
・値段が高い代わりに、成分も優れている
・低発泡、低研磨、低香味・法的な定義がない(薬だと「医薬部外品」「第三類医薬品」「要指導医薬品」のように区分けが決められており、販売方法も規制がある。歯科専売品は各メーカーが独自で謳っているだけで、定義や規制はない)
・昔は歯医者でないと買えなかった
・今はAmazonやロフト、ハンズでたくさん売られている
・薬局で見ることも増えた
つまり歯科専売品は「高級歯磨き粉」と
思ってもらえればいいです。
歯科医がオススメする歯磨き粉も、
大抵は歯科専売品となります。
ただし、中には歯科専売品より優れた市販品も存在します。
それぞれピンキリなので必ずしも
歯科専売品が最強とは限りません。
が、傾向として歯科専売品のほうが、
良い歯磨き粉は多いです。
歯科専売品の特徴:低発泡、低研磨、低香味
歯科専売品と言っても、その特徴はさまざまですが、
共通して見られるのは低発泡、低研磨、低香味です。
歯医者さんもこの3点が揃った歯磨き粉を
オススメする人が多いです。
1つ1つ見ていきますね。
A.低発泡
低発泡は、泡立ちが控えめということです。
クリニカやガムなど、市販の歯磨き粉と
比べてそこまで泡立ちません。
これの何がいいのかをお話するために、
まず歯磨き粉が泡立つことのメリット、
デメリットを見ていきましょう。
メリット:
薬用成分が隅々まで行き渡る
油をよく落としてくれる
スッキリとした爽快感(磨いた感じ)がある
デメリット:
泡のせいで磨き残しのあるなしが分かりづらくなる
泡立つと磨いた気になってしまい、ブラッシングが甘くなる
丁寧に磨こうとすると、その最中に口の中が泡だらけになる
大量洗口につながりやすい(無洗口がやりづらい)
このように泡立つメリットはありますが、
泡立ちすぎは良くないとする歯科医師が多いのです。
私もそうで、時間をかけ丁寧な
ブラッシングをしようとすると、
口の中が泡でいっぱいになってしまいます。
なので、低発泡が好きです。
B.低研磨
研磨剤が少ないということです。
ここでも研磨剤のメリット、
デメリットを見ていきます。
メリット:
歯垢(プラーク)が落ちやすい
着色汚れ(ステイン)が落ちやすい=ホワイトニング効果が高い
デメリット:
オーバーブラッシング時に歯を傷つけるリスクがある
粒子が口の中に残って気持ち悪い
大量洗口につながりやすい(無洗口がやりづらい)
特に歯を傷つけることを危険視する医師が多いです。
以前お話したように、
日本の規制内で作られた歯磨き粉なら、
研磨剤で歯が削れることはありません。
が、オーバーブラッシング時に研磨剤まで粗いと、
歯の傷が深くなる可能性は考えられます。
そして多くの人はブラッシング圧が強すぎです。
適切な圧で磨けている人は少ないでしょう。
その点では、低研磨のほうが安全だとは言えます。
また、研磨剤がジャリジャリ入っていると、
歯磨き粉に粒子が口の中に残るのが
個人的に気持ち悪いです。
私は低研磨にはそこまでこだわりはありませんが、
一般論では低研磨が推奨されやすいでしょう。
C.低香味
味や香りがキツ過ぎないということです。
こちらも香味料のメリット・デメリットを挙げます。
メリット:
味や香りを楽しめる
スッキリ爽快感がある
デメリット:
味や香りが好みでないと使いにくい
大量洗口につながりやすい(無洗口がやりづらい)
データや論文があるわけではありませんが、
「香味が強いと大量洗口しやすい」
「発泡と同じで磨いた気になりやすい」
と主張する歯科医やメーカーもいます。
個人的に低香味は好みです。
市販品はミントが強すぎたり、苦かったりして、
使うには刺激が強いんです。
対して歯科専売品の低香味は、
ほのかな甘みやスッキリ感を持ったミントが多いです。
そのため、気持ちよく使えます。
以上が低発泡・低研磨・低香味です。
歯科専売品はまず間違いなく、
「そこまで泡立たない」
「研磨剤は軽くシャリシャリする程度」
「ほのかなミント」
で作られていると考えておきましょう。
また、3点のいずれにも共通するのは、
「大量洗口につながりやすい」ということです。
歯磨き粉の薬用成分を口の中へ残すため、
一昔前だと少量洗口、いまでは無洗口が
推奨されています。
大量の水で、何度もうがいを繰り返すことは
推奨されていません。
しかし、泡立ち、研磨剤、香味が強いと、
うがいしたくなるのです。
(これは本人の意識次第であり、
ちゃんと知識があれば市販品でも
無洗口している方はいます)
歯磨き粉の効果を高めるためにも、
無洗口しやすい歯科専売品は便利です。
ちなみに真偽は定かではありませんが、
「市販品は低発砲や低香味だと売れづらいので、
泡立ちや香味を強めにしている」
と主張する歯科医もいます。
たしかにAmazonで市販品のレビューを見ると
「スッキリしない」「全然泡立たない」
という批判が少数見られます。
データとして明確に差が出るほど
売り上げが変わるかは分かりませんが、
泡立ちや香味が弱い歯磨き粉は嫌い
という層もいるでしょう。
たしかに私も歯磨き粉はいいとして、
洗濯洗剤やシャンプーがまったく泡立たなかったら
「なんだこれ」と思ってしまうかもしれません。
以上、歯科専売品は低発泡・低研磨・低香味。
コンビニやスーパーでも見るような市販品は、
発泡・研磨・香味が強いと考えてください。
例外として、市販品でも500円を超えるような
高いものは発泡・研磨・香味の控えめなものが多いです。
逆に、すごく安い歯磨き粉は刺激も強いです。
D.低使用量
最後に、これは私が勝手に言っていることです(笑)
歯科専売品は口が小さめです。
1回の使用量が少なめになります。
よって、市販品は1本130g前後の歯磨き粉が
多いのに対し、歯科専売品は90g前後が多いので、
「容量が少ない」「すぐなくなる」という印象を
受けるのですが、実際は容量以上に長持ちします。
以下は、その比較写真です。
クリニカアドバンテージ(市販品)
ガムプラス(市販品)
クリンプロ(歯科専売品)
システマセンシティブ(歯科専売品)
チェックアップスタンダード(歯科専売品)
このように、歯科専売品のほうが
明らかに口は小さいですね。
市販品と歯科専売品には、以上のような違いがあります。
E.成分濃度(の可能性がある)
最後は不確定な要素なのですが、
「歯科専売品は成分濃度の高い可能性がある」
と私は見ています。
成分を見比べると、市販品と歯科専売品で、
入っている成分が同じだと感じることがあります。
なんなら成分数は市販品のほうが多いことがあるのです。
たとえばライオンが出している歯科専売品の
チェックアップスタンダードは虫歯予防に
特化しているのですが、フッ素1,450ppm+
フッ素の効果を高める成分3つという構成です。
対して、同じくライオンの市販品、
クリニカアドバンテージはフッ素、デキストラナーゼ、
LSS、ポリリン酸ナトリウム、TDSと、
大まかに見て5つの成分が入っています。
すると「市販品のほうがいいのでは?」と考えがちです。
実際、市販品も成分のいいものが増えています。
歯科専売品以上に優れたものもあるでしょう。
ただし、成分濃度に関しては歯科専売品のほうが
高い可能性があるのです。
というのも、大宮の歯医者さんが、
口内細菌の塊にマウスウォッシュを垂らし、
顕微鏡で殺菌の様子を見るという実験を行いました。
結果、ライオン社の歯科専売品であるマウスウォッシュ、
SP-Tメディカルガーグルでは、細菌が強烈に殺菌されました。
しかし、同ライオン社の市販品である
システマ系のマウスウォッシュだと、
大して殺菌されなかったのです。
また、アース製薬のマウスウォッシュ、
モンダミンにも歯科専売品と市販品があるのですが、
その殺菌作用も前者のほうが遥かに強かった、
というデータがあります。
つまり、成分には大差なくても、
効果(濃度)には大きな差があったのです。
これらはマウスウォッシュの事例です。
が、歯磨き粉も同じように濃度が違うかもしれません。
ただ、ここは私たち個人にはなかなか
確かめようがないのが残念です。
歯磨き粉で明確に濃度が分かるのは
1,000ppmを超えるフッ素のみ。
IPMP、CPC、LSSなどの薬用成分は濃度が分かりません。
(余談ですが歯科大学の分析によると、
シュミテクトシリーズは他の知覚過敏ケア歯磨き粉より、
硝酸カリウムの濃度が高かったそうです)
よって話の根拠としては弱いのですが、
歯磨き粉もマウスウォッシュのように、
成分濃度が違うかもしれないと私は考えています。
また、信憑性でも違いがあります。
歯科専売品はさまざまな学術論文や
エビデンスが出ているのが強みです。
それも成分のものではなく、
歯磨き粉そのもののエビデンスです。
歯科専売品は歯医者に卸して販売してもらうので、
メーカーもエビデンスを頑張って
揃えているのだと推測されます。
市販品だとそこまで行われていないものが多いです。
よって、効果の信憑性は歯科専売品が
高いと言えるでしょう。
…と、後半は私の推測・憶測が増えてしまいました。
が、そういった不明確な点は除いても、
・値段(コストパフォーマンス)
・成分
・低発泡、低研磨、低香味、低使用量
などを見れば、オススメは歯科専売品になることが多いです。
というわけで次回から、具体的な
オススメ歯磨き粉をご紹介していきますね!