虫歯・歯周病予防で笑顔を守る:予防歯科のいろは

彩り豊かな人生を送るための口腔ケア(デンタルケア)ブログ

GUMシリーズの特徴と比較

今回はサンスター社のGUMシリーズについて解説します。

以前お話したように口腔ケアだと
ライオン社の製品がとても優れているので、
そればかり取り上げがちです。

が、他社の製品も十分にいいものです。

 

歯磨き粉の売り上げも、
第1位がクリニカ、第2位がGUM、
第3位がクリアクリーンと言われています。

Amazonの売り上げランキングだと
第1位がNONIOだったりして、データの
取り方によっても変わると思いますが)

では、第2位のGUMシリーズはどうなのか?

結論として、非常にいいです。

が、ライオン社のシステマシリーズとは、
また違った特徴を持っているため、
成分を理解して使うことが大切です。

今回はGUMシリーズの成分と特徴を解説します。

GUMシリーズ3つの特徴

今回の記事で扱うのは以下の4種類です。

ガム・デンタルペースト
ガムプラス・デンタルペースト
ガム歯周プロケア
ガム・ハグキラボ

細かく分けると他にもありますが、
主要なのは以上4つとなります。

特徴1:殺菌成分がCPC

GUMシリーズは一貫して、
CPC(塩化セチルピリジニウム)
という殺菌成分が配合されています。

いまはプラーク内まで殺菌できる
IPMPが持てはやされているのですが、
GUMシリーズでは採用されていません。

(CPCはプラーク内まで殺菌はできませんが、
それ以外の浮遊菌に対する効果はIPMPより
高いと考えられています)

特徴2:フッ素がモノフルオロリン酸ナトリウム

ガムと歯周プロケアはフッ化ナトリウム、
ガムプラス、ハグキラボはモノフルオロリン酸ナトリウム
というフッ化物を使用しています。

モノフルオロリン酸ナトリウムはフッ化ナトリウムと比べ、
人体への安全性が高いフッ素です。

(毒性がフッ化ナトリウムの30%~50%程度)

また、フッ化ナトリウムよりも
歯への浸透性が高いと言われています。


一方、プラーク内への浸透力は弱いです。

フッ化ナトリウムはプラークを貫通するため、
仮に歯が磨き残しだらけでも、
フッ化ナトリウムを塗布すれば
歯質強化を起こせます。

対してモノフルオロリン酸ナトリウムは、
プラークの上から塗布しても効果が弱いのです。

 

つまりCPCと並び、しっかりブラッシングできていれば
非常に高い効果が見込めますが、磨き残しがあると、
効果はガクッと落ちます。


とは言え、歯周病予防で大切なのはプラーク除去。

いかに浸透殺菌するIPMPと言えど、
磨き残しだらけでも歯周病
防げるほど万能ではありません。

あくまでも多少ならカバーできる補助成分です。

よって肯定的な見方をすれば、
歯周病予防で大事なのはプラークを除去することです」
というサンスターのメッセージなのかもしれません。

(たぶん深読みし過ぎ)

特徴3:発泡剤がアルキルグルコシド

発泡剤はラウリル硫酸ナトリウムが主流です。

食器用洗剤などと同じく汚れを落としてくれますし、
泡により成分を細部まで届けてくれる作用があります。

一方、多少の細胞毒性があることから、
発がん性、味覚障害ドライマウスなどの
リスクも指摘されています。

私見として歯磨き粉に含まれる程度の量なら、
ガンや味覚障害は起きないでしょう。が、
わずかなドライマウスは起こると考えています)

それよりもやや安全と言われているのが、
アルキルグルコシドです。

つまりモノフルオロリン酸ナトリウムと並び、
安全な成分を使用していると言えます。

ガムシリーズの総評

フッ化ナトリウム、IPMP、ラウリル硫酸ナトリウムの
ステマシリーズは磨き残しをカバーできる。

モノフルオロリン酸ナトリウム、CPC、
アルキルグルコシドのGUMシリーズは、
磨き残しはカバーできないが、安全性が高い。

よって、しっかりブラッシングできている方なら、
GUMシリーズも非常に魅力的と言えるでしょう。

 

ただし、コスパはシステマシリーズのほうが優秀です。

GUMシリーズはどれを買っても、
ステマシリーズより100~200円は高いのです。

よって安さ重視ならシステマがいいでしょう。

ガムシリーズ製品ごとの違いを比較

ではここから、4つのGUMシリーズの
成分や値段を比較していきます。

まず、虫歯・歯周病予防の効果は、
以下の順で強くなっていきます。

1.ガム・デンタルペースト
2.ガムプラス・デンタルペースト
3.ガム歯周プロケア
4.ガム・ハグキラボ

ガム・デンタルペースト

ガム・デンタルペースト|歯周病菌とたたかうサンスターG・U・M(ガム)|サンスター|SUNSTAR

もっとも基本的なGUMです。

コンビニやスーパーでも見ますね。

ガム・デンタルペーストは
フッ素濃度が1,000ppm未満。

成分もCPC・GK2と基本的です。

値段は120gで418円です。

ガムプラス・デンタルペースト

ガム・プラス デンタルペースト ハーブミント|歯周病菌とたたかうサンスターG・U・M(ガム)|サンスター|SUNSTAR

ガムプラスからフッ素が1,450ppmになります。

殺菌成分はガム・デンタルペーストと同じです。

ただし、以下の成分が補助としてあることから、
歯周病予防の効果は上がっていると考えられます。

歯周病菌が奥へ入り込むのをブロックする吸着剤:
β‐シクロデキストリン

2つの清掃剤:
重質炭酸・軽質炭酸カルシウム

菌の塊を分散させる清掃助剤:
D-キシロース
ヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチル・DL-PCA塩
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液

値段は120gで495円です。

ガム歯周プロケア

ガム歯周プロケア ペースト|歯周病菌とたたかうサンスターG・U・M(ガム)|サンスター|SUNSTAR

歯ぐきを活性化させたり、防御力を高める
ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンB6、
抗炎症作用のβ-グリチルレチン酸が配合されています。

ガムプラス・デンタルペーストよりも、
歯ぐきを守る成分が多くなっています。

値段は90gで770円です。

なお湿潤剤としてアボカドオイルを配合した
「うるおいタイプ」もあります。

こちらは85gで770円です。

ガム ハグキラボ

ガム・ハグキラボ デンタルペースト メディカルハーブミント|歯周病菌とたたかうサンスターG・U・M(ガム)|サンスター|SUNSTAR

抗炎症作用のβ-グリチルレチン酸が、
GUMシリーズの中で最高濃度です。

また、ガムプラスにあった以下の成分も含まれています。

歯周病菌が奥へ入り込むのをブロックする吸着剤:
β‐シクロデキストリン

菌の塊を分散させる清掃助剤:
ヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチル・DL-PCA塩
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液

値段は85gで935円です。

ガム・プロズ デンタルペースト Haguki Lab.

最後にオマケでご紹介するのが、
GUMシリーズの歯科専売品です。

(正直、知名度はほとんどありませんが…)

ガム・プロズのパンフレット

しかし成分は市販品と変わりません。

・フッ化ナトリウム
・CPC
・β-グリチルレチン酸
・β‐シクロデキストリン
・ヤシ油脂肪酸アシルアルギニンエチル・DL-PCA塩
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液

などなど。

コスパもハグキラボと同じく、85gで935円です。

成分濃度が高くなっていたり、
低発泡・低研磨・低香味なのかもしれませんが、
基本はガムプラスやハグキラボと同じだと思います。

歯周病予防GUMシリーズのまとめ

以上がGUMシリーズの歯磨き粉です。

結論として、成分はとても優れています。

IPMPやラウリル硫酸ナトリウムが主流な中で、
CPC・アルキルグルコシドにこだわるなど、
GUMシリーズならではの差別化も見られます。


ただし難点は選びづらいことです。

GUMシリーズは、上位のものほど
成分も多いわけではありません。

ガムプラスにある成分が、
歯周プロケアやハグキラボにはなかったりします。

対してライオン社システマシリーズは、
値段が高いほど成分が増えていくという
シンプルさなので、分かりやすいのです。

コスパもシステマのほうが優れていることから、
私は基本そちらをオススメしています。

成分に魅力を感じたり、
GUMシリーズが好きという方は、
今回の記事を参考にしてください。

ちなみにGUMシリーズでもっとも
バランスがいいのはガムプラスだと思います。