今日から虫歯の具体的メカニズムをお話していきます。
虫歯に限らずですが、
「この現象はなぜ起こっているのか?」
が分かっていると応用が効きます。
虫歯予防としてベストな生活ができないときでも、
原理を知っていればカバーができるんです。
そのため、ここで虫歯のシステムを知っておいてください。
ただし込み入った説明になるので、
最初に簡単なまとめを書いておきます。
飲食で糖分を摂取する。
虫歯菌(ミュータンス菌)がその糖分を食べる。
そのとき菌は酸を生成する。
その酸により歯が溶かされる。
歯は唾液の作用により徐々に再生される。
が、飲食の回数が多過ぎたり、時間が長過ぎると、
歯が戻る前にまた酸で歯が溶かされる。その繰り返しで、そのうち歯に穴が開く→虫歯
よって飲食の回数を減らすことが最大の虫歯予防。
これが大まかなメカニズムです。
ここを詳しく細かく踏み込んでいきますね。
脱灰
虫歯の原因は糖分です。
私たちが飲食すると、
虫歯菌(ミュータンス菌)が、
糖分をエサとして摂取します。
その際に排泄物として、酸を生成するのです。
すると、私たちの歯は溶かされてしまいます。
「歯が溶ける」という現象を具体的に言うと、
歯は中心を神経として、その周りを象牙質、
さらにその周りをエナメル質が覆っています。
エナメル質は、表面が
ハイドロキシアパタイト
という結晶になっています。
ハイドロキシアパタイトの構成成分は、主に
リン酸、カルシウム、水酸化物イオンの3つ。
そこが酸によって分解され、
リン酸とカルシウムが溶け出してしまうのです。
これを「脱灰」と言います。
虫歯の話ではよく出てくる単語なので、
脱灰=酸により歯の成分が溶け出すこと
と覚えておいてください。
※なお、糖類の中でもショ糖(砂糖の主成分)は
大量の酸が作られると言われています。
そのため果物や野菜、乳製品と比較しても、
特に砂糖が虫歯には良くないのです。
再石灰
脱灰により歯は溶けるのですが、
決してそのまま放置されるわけではありません。
その歯を修復してくれるのが、唾液です。
唾液中には、リン酸とカルシウムが含まれています。
それらの成分がエナメル質へ取り込まれ、
再びハイドロキシアパタイトを形成するのです。
この修復作用を「再石灰化」と言います。
脱灰と並び、虫歯予防でよく聞く単語です。
つまり脱灰しても再石灰化していれば、
虫歯にはなりません。
虫歯になるのは、
この再石灰化が上手く働かないケースです。
なぜ再石灰化が上手くいかないことがあるのか?
それは次回の記事でまた詳しくお話しますね。