虫歯・歯周病予防で笑顔を守る:予防歯科のいろは

彩り豊かな人生を送るための口腔ケア(デンタルケア)ブログ

歯周病予防成分の効果的な選び方

前回、クロルヘキシジンについて解説しました。

歯周病予防にとても効果の高い成分ですが、
日本では有効濃度で使えません。

そのため私たちは他の成分を使うことになります。

そこで歯周病予防に有効な成分を一挙ご紹介します。

歯周病予防の成分:代表的な5つ

1.IPMP(イソプロピルメチルフェノール)
2.CPC(塩化セチルピリジニウム)
3.酢酸トコフェロール(ビタミンE)
4.トラネキサム酸
5.グリチルレチン酸

IPMP (イソプロピルメチルフェノール)

歯周病菌を殺菌できる成分です。

IPMPの凄いところは、
プラークの内部まで浸透殺菌できることです。

プラークは口内細菌にとって
バリアのような役割を果たしています。

そのため普通の殺菌成分ではプラーク
貫通できず、きちんとブラッシングで
破壊しないといけません。

が、IPMPはプラーク内部まで浸透殺菌できるのです。

よって仮に磨き残しがあっても、
多少ならカバーできます。

※もちろん万能ではありません。

歯周病対策の殺菌成分としては非常に有名です。

市販の歯磨き粉だと、

・システマEX
・クリーンデンタル
・デントヘルス

などに配合されています。

CPC (塩化セチルピリジニウム)

CPCはIPMPと並んで有名な殺菌成分です。

・効果時間が長い
・即効性が高い
・50ppmなどの低濃度から高い効果を発揮

といった特徴があります。

市販の歯磨き粉では、

・GUMシリーズ
・ブレスラボ

などに配合されています。

 

IPMPと違って、CPCはプラーク内部までは殺菌できません。

よって磨き残しがあると、CPCの意味があまりないのです。

そう聞くとIPMPより劣っているイメージがあります。

しかしIPMPはプラークを浸透殺菌できる代わりに、
浮遊菌(プラーク外にある細菌)への殺菌力は
CPCより弱く、一説には1/10程度の効果しかない
とも言われています。

つまり即効性や持続性はCPCが優れているのです。

 

また、歯周病予防では磨き残しを作らないことが大事です。

いくら磨き残しがあっても、
IPMPを使えば無敵になるわけではありません。

日ごろの磨き残しを、ある程度カバーしてくれるものです。

いくらIPMPを使っても、ブラッシングが甘過ぎると
歯周病にはかかります。

一方、プラークをブラシで破壊すれば、
その後はCPCのほうが効きます。

となると、どちらのほうが優秀かは一概に言えません。

 

それぞれが違った強みを持っていることから、
IPMPとCPCが両方配合されている製品もあります。

また製品の用途により、IPMP配合、CPC配合が
分かれているケースもあります。

マウスウォッシュや、
寝る前に使うジェルなどにはCPCがよく使われ、
普通の歯磨き粉ではIPMPが人気です。

酢酸トコフェロール(ビタミンE)

酢酸トコフェロールは、
歯ぐきの回復力を高めてくれる成分です。

抗酸化:
活性酸素による細胞のダメージを防ぎ、歯肉を維持。

血行促進:
歯肉の血行を促進し、組織の修復を促す。

といった作用を持ちます。

酢酸トコフェロールは歯周病予防の歯磨き粉の中でも、
少し値段が高めのものによく配合されています。

・システマ ハグキプラス
・デントヘルス

などです。

トラネキサム酸

トラネキサム酸は炎症を防ぐ成分です。

抗炎症作用:
歯肉炎や歯周病による炎症を鎮める。

出血抑制効果:
歯肉からの出血を抑える。

といった作用を持ちます。

ステマ ハグキプラスなどに配合されています。

グリチルリチン酸

グリチルリチン酸は甘草由来の成分です。

グリチルリチン酸ジカリウム
β-グリチルレチン酸といった種類があります。

どちらも、

抗酸化(歯ぐきを炎症から守る)
抗炎症(歯ぐきの炎症を鎮める)

といった作用があります。

 

以上5つが代表的な歯周病予防の成分です。

歯周病予防」と書かれている歯磨き粉を見ると、
大抵この5つのうち、数種類が配合されているでしょう。

歯周病予防のマイナー成分4つ

他、そんなに見るわけではありませんが、
歯周病予防に使われることがある
成分をご紹介します。

ヒノキチオール:
歯肉の炎症を抑える。
生葉に配合されている。

アラントイン:
歯周組織を活性化、止血する。
ディープクリーンに配合されている。

塩化リゾチーム:
炎症によって生み出される分泌物を分解。
市販では見ないマイナーな歯磨き粉で稀に配合される。

塩化ナトリウム:
炎症によって腫れた組織を引き締める。
つぶ塩、薬用塩ハミガキなどに配合される。

歯周病予防の成分まとめ

以上が代表的な成分です。

虫歯予防だと、フッ素一択であり、

・防御力のアップ(歯質強化)
・回復力のアップ(再石灰化
・攻撃力のダウン(抗菌作用)

を一気に行えます。

さらにフッ素は持続効果も高いです。

具体的な期間は食生活や体質、
フッ素濃度などにより変わりますが、
大まかに3ヶ月は効果が続きます。


対して歯周病予防だと、1つだけで
何でもできる万能な成分はありません。

そのため今回ご紹介したような
複数の複数を組み合わせて使います。

歯周病予防の歯磨き粉を選ぶときは
参考にしてください。